2005年05月08日
アンナ・マデリーナ
もう5年以上前の映画だろうか。
たまにすごく見たくなってレンタルすることがある。
香港の恋愛映画はどうしても胸を打つものが多い。
この映画の金城武の微妙な心理もただただ切ない。
いつの間にか芽生えた恋心をどう伝えてよいかわからず、戸惑い、悩む。
恋が成就するか否かはこの際どうでもいい。
彼が想いを伝えられるかどうかの心理状態がたまらないのだ。
結局彼は相手への想いを小説に託すことを選択する。
小説は出版され、店頭に並ぶくらいにまでになる。
しかしそれはそれ。
結局彼は現実に彼女と結ばれることもなく、また今まで同様の日常に戻
っていく。
ラストに流れる「カヴァレリア・ルスティカーナ」の音楽をバックに、一つの恋
に一応の結末を見た金城武が映る。
そして、同じく想いを伝えられなかった出版社の編集者の女性、ピアノを調
律している金城にいつも想いを寄せていた太めのウェイトレスもなぜかや
さしく見える。
恋だけは単なる努力でどうにかなるものではないという辛い現実をやさしさ
を交えて語りかけてくる。
最後は、やさしくて切ない気持ちが残る、良い映画である。