2006年08月27日
山下清っていいな
昨日のテレビ東京の旅番組「土曜スペシャル」は「放浪画家 山下清が愛したにっぽんの原風景」という特集で、ぼんやりと見ていた。
僕らの世代の山下清像といえば、花王名人劇場「裸の大将放浪記」の芦屋雁之助さんなのだろうが、子供ながらになんとなく「出来すぎた話だな」と思っていた気がする。
それからちょっと後に何かの番組で、宗教学者の中沢新一さんが、山下清とたこ八郎さん(既に故人だった)を絶賛していて、小林桂樹さんが山下清役を演じた映画「裸の大将」のワンシーンも流れた。
中沢さんは芦屋雁之助さんの山下清よりも「断然、小林桂樹さんがいい!」と言っていて、言われてみると確かにそうだなと思ったものだった。
と、そんな思い出のある山下清だが、昨日の番組を見て改めて興味が出て来た。
山下清は知的障害者施設に居たのだが、しょっちゅう施設を抜け出し、放浪の旅に出ていたという。
束縛が嫌で施設を抜け出していたらしいのだが、なんか自由でいいんだよな。
数年前、僕は知的障害者施設で仕事をしていたことがある。
事務の仕事だったのだが、疲れて来るとタバコを一服がてら、隣の介護室で彼らと遊んでいた。
「知的障害者は純粋で天使です」などと言うつもりはないが、彼らと遊んでいる時は実に楽しかった。
天使でもないが、もちろん悪魔でもない。
我々と同じで、色んな人がいる。
ただそれだけだ。
でも我々に比べて薄汚れた部分は少なかったように思うな。
誕生日パーティーとかだと、全身を動かして喜びを表現したりね。
喜怒哀楽の表現がわかりやすかった。
と、彼らの全てをわかったつもりになるのもこれまた良くないんだけど。
怒ったり泣いたり、時には暴力も振るったりするしね。
でもこれは自然なことだよな。
山下清みたいな子もいたな。
いなくなっちゃったって親御さんから連絡があってね。
こちら側としてはすごい心配なんだけど、本人は大冒険で楽しかったんだと思う。
僕も学童クラブに通っていた頃、よく抜け出して捜されてたけど、すごくワクワクしたし、何よりも自由になれた感じがしたんだよね。
近代というか、「健常者と障害者」みたいなくくりが出来て以降、山下清みたいな人は「知的障害者」とされてしまったわけだけど、これもどうかなと思うな。
僕からすると、会社で平気で不正をしたり、人を蹴落としても平気な顔をしてたり、カネカネカネで、カネのためならなんでもするって奴の方がおかしいんじゃないかと思うんだけどね。
もう一度生まれ変わってどちらかの人生を選べるって言われたら僕は迷わず山下清みたいな方がいいな。
知的障害者であっても、放浪の旅に出て、たまたま絵の才能があって、人生なんとかなっちゃったって、すごいうらやましいと思うよ。
ギスギスした社会で暮らしてると本当にそう思うよね。
憧れる人生だよ。
あ、人生にばかり焦点を当てちゃったけど、絵も素晴らしいです。
僕は絵を見たりとか、あんまりしないんだけど、山下清の絵は好きだな。
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この記事へのコメント
久しぶりっす♪
AP1界隈はちょっと姿現さないとすぐ死亡説流れるからなあ(笑)
DECORAには行ってるのでたまにのぞいてみてちょ♪
山下清の生き方もまた魅力的ですね。
本当のところは想像を絶するような辛く大変なこともたくさんあったと思いますが。
でもあれほどの驚異的な映像記憶力を持って、一心不乱にちぎり絵に起こす作業は素晴らしい能力ですよね☆
実際、芸術とは常人の成せる技ではないのかもしれませんね・・・
山下清の人生については、これから色々と本を読んだりして調べたいと思っています。
少なくとも「裸の大将放浪記」のようなのんきなものではなかったでしょうね。
小林桂樹さんの映画の方がシリアスだったようです。
自分も芸術家の端くれのつもりですが、山下清レベルだと雲の上の人ですね。
特に障害について書いてあるわけではないですけど、写真のアングルとか、好きな映画とか、結構、私好みだったので、これからちょくちょく覗かせてもらいますね。
施設の介護スタッフの仲間とは今でもたまに飲んでますよ。
○○くんどうしてる?とか、会話してます。
懐かしい子もいっぱいいるなあ。会いたいなあ。
最近忙しくて会えないんですよ。
ところで写真のアングルでお褒めの言葉をいただいたのは初めてです(笑)
こんなブログで良かったらこれからもどんどん見てやって下さい(^_^;)
と言うか、同世代なんですね!
ヤクザものは見てないので、良く分かりませんけど・・・。
映画に「さらば青春の光」のようなマイナーものがあったので、驚き!!
STINGファンですか?それともTHE WHO ファン?
それともただ、映画がよかったとか?
とにかく興奮してしまいました!
こんなマイナーな映画がDVD化しているとは!
私は深夜にテレビで放映されたものを録画して、それを今も大事に持っています。日本では二度と日の目を見ることはない映画だと思っていたので、驚きです。
「さらば青春の光」は、最近の流れならDVD化されるなと思ってましたが(^_^;)
この映画はやっぱりロック映画ですよね。
モッズっぽい音楽が好きで、まだ未成年の頃に名画座で見たのが初めてでした。
当時はビデオが出てたかどうかもあやしい時代でしたね。
今はとんでもなくマイナーな映画もDVD化されてて驚きますよ(笑)
Amazonとかで検索してみるといいと思います。